月経不順(月経異常)を伴う疾患はさまざまあります。多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、高プロラクチン血症、無排卵周期症、黄体機能不全、神経性食欲不振症、甲状腺機能低下症などです。
プロラクチン(PRL)は下垂体前葉ホルモンのひとつで、①乳管への乳汁分泌作用と②性腺(卵巣)機能抑制作用を持ちます。授乳中はこの作用によって無月経となり、妊娠が妨げられます。
通常(妊娠・授乳期以外)は、プロラクチンは低値に留まり、乳汁は分泌されませんが、何らかの原因で高値になると、授乳期以外でも乳汁漏出や性腺機能低下(不妊・無月経)が生じます。
高プロラクチン血症は20~30代女性に多く、男女比は1:4です。
血中のプロラクチン値は、正常月経周期の女性では15-20ng/ml以下です。
- 月経不順(無月経・無排卵・稀発月経・不正出血)
- 乳汁分泌・乳房の張満感
- 不妊
- その他(下垂体腺腫腫大による頭痛・視野障害など)
- 薬剤性(ドグマチールなどの胃薬、抗うつ薬、抗精神病薬など)
- 甲状腺機能低下症(甲状腺ホルモン↓)
- 下垂体腺腫(プロラクチノーマ)⇒PRL値が100ng/mlを超えることが多い
- なんらかの肉体的、精神的ストレス
※原因を鑑別するために、①服用中の薬剤、②甲状腺ホルモン検査、③頭部X線、CT、MRIなどのチェックを行ないます。
原因によって治療法は異なります。
- 薬剤性による場合は、まず原因と考えられる薬剤の服用を中止します。
- 甲状腺機能低下症による場合は、甲状腺ホルモン補充療法を行ないます。
- 下垂体腺腫(プロラクチノーマ)による場合は、薬物療法を行ないます。
薬剤抵抗性や、腺腫が大きいものは手術療法を選択することもあります。 - その他の場合は、プロラクチンを下げる薬剤の他、低用量ピル(OC)や漢方薬を服用し、無月経の改善をはかります。さらに、排卵誘発剤を併用することもあります。