過活動膀胱は「急に我慢できないような尿意が起こる」「トイレが近い」「急にトイレに行きたくなり、我慢ができず尿が漏れてしまうことがある」などの症状を示す病気で、40歳以上の男女の8人に1人が、過活動膀胱の症状をもっていることが、最近の調査でわかりました。
◎尿意切迫感
それまで何でもなかったのに、突然トイレに行きたくなり、がまんすることが難しい症状です。過活動膀胱の患者さまでは必ずみられる症状です。
◎昼間頻尿
日中に8回以上トイレに行く症状です。過活動膀胱に通常伴う症状です。
◎夜間頻尿
夜中に1回以上、おしっこのために起きたりする症状です。過活動膀胱に通常伴う症状です。
◎切迫性尿失禁
突然のがまんできない強い尿意のために、トイレまでがまんできず、尿がもれてしまう症状です。過活動膀胱では、この症状は伴わないこともあります。
過活動膀胱は、膀胱が異常な働きをすることで起こります。
膀胱が勝手に縮んだり、過敏な働きをするために、尿が充分たまっていないうちに、急に、がまんできない尿意が起こります。
膀胱の異常が起こる原因には、以下のようなものがあります。
- 〈神経系のトラブル〉
- 脳卒中などの後遺症で、脳と膀胱の筋肉を結ぶ神経の回路に障害が起きた場合。
- 〈骨盤底筋のトラブル〉
- 出産や加齢によって、子宮、膀胱、尿道などを支えている骨盤底筋と呼ばれる筋肉が弱くなった場合。
- 〈それ以外〉
- 何らかの原因で膀胱の神経が過敏に働く場合や、原因が特定できない場合。過活動膀胱の多くは、原因が特定できません。
どのような尿のトラブルがどの程度あるのかを聞きます。簡単な質問票に記入していただきます。
過活動膀胱以外の病気ではないことを確認するために、簡単な検査を行うこともあります。
- 尿検査
- 尿に血がまじっていないか、細菌がいないかなどを調べます。
がんや感染症を見つけることができます。- 超音波検査
- 膀胱に残っている尿の量や膀胱の状態、がんや結石がないかなどを調べます。
◎薬による治療
過活動膀胱では、薬による治療が一般的です。
◎その他の治療
薬で効果がない時には、骨盤底筋の収縮力を強化したり、膀胱や尿道の神経の働きを調整する電気刺激法で治療することがあります。(当院ではこの治療法は行っておりません。)
「膀胱訓練」や「骨盤底筋訓練(骨盤底筋体操)」というトレーニングも効果があります。
薬の服用とあわせて生活の中で行うことが勧められる治療法として「膀胱訓練」や「骨盤底筋訓練」があります。
◎膀胱訓練
トイレに行きたくなっても、がまんする訓練です。膀胱にためることのできるおしっこの量を増やすことができます。がまんする時間は5分くらいから始めて、少しずつ時間を延ばしていきましょう。
◎骨盤底筋訓練(骨盤底筋体操)
尿道を締める力を鍛えるための体操です。基本の方法を覚えて、生活の中でこまめに行っていきましょう。
〈基本の方法〉
①あお向けに横になり、両足を肩幅程度に開いて、両ひざを軽く立てましょう。
②尿道・肛門・膣をきゅっと締めたり、緩めたりし、これを2〜3回繰り返します。
③次はゆっくりぎゅうっと締め、3秒間ほど静止します。その後、ゆっくり緩めます。
これを2〜3回繰り返します。
締める時間を少しずつ延ばしていきます。〜1日5分から始めて、10〜20分まで、だんだん増やしていきましょう〜
〈生活の中で〉
◎ひじ・ひざをついた姿勢で(朝・晩、布団の中)
床にひざをつき、ひじをクッションの上にのせ、頭を支えて行います。◎テーブルを支えにした姿勢で(家事、仕事の合間に)
足を肩幅に開いて立ち、手は机の上に乗せて行います。◎椅子に座った姿勢で(テレビを見ながら)
足を肩幅に開いて椅子に座り、足の裏の全面を床につけて行います。