女性のからだはエストロゲンと共に変化します
女性のからだは、一生を通じて女性ホルモンである卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)の影響を受けています。特にエストロゲンは、女性のライフステージによって分泌量が大きく変化します。
閉経とは?
月経が永久に停止することを指します。
具体的には、1年間生理がないことを確認して初めて閉経したといえます。
この場合は、最後の生理があった時の年齢が閉経年齢になります。
これらの症状を感じたら、婦人科や更年期外来に相談してみましょう。
HRTはエストロゲンを補う治療法です
HRT(ホルモン補充療法)とは、更年期を迎え、女性のからだの中で分泌が低下し、欠乏してゆくエストロゲンを薬で補う治療法です。
HRTは、エストロゲンの欠乏により引き起こされた症状を、エストロゲンそのものを補うことにより軽減させる治療法で、原因療法といえます。
また、女性のからだのさまざまな器官に作用しているエストロゲンを維持することは、更年期に温床ができ、老年期に顕在化する病気(動脈硬化や骨粗しょう症など)の予防にもつながる可能性があるといわれています。
HRTは欠乏しているエストロゲンを補うことで、からだ全体に良い効果をもたらしてくれます。
◎のぼせ、ほてり、発汗などの症状を改善する
◎性器の萎縮で起こる膣炎や性交痛を改善する
◎骨がとけだすのを抑え、骨量を維持し、骨粗しょう症を防ぐ
また、このほかにも以下のような作用も認められています。
○意欲や集中力の低下を回復させ、気分の落ち込みを和らげる。
○悪玉コレステロールを減らし、善玉コレステロールを増やし、血管のしなやかさを保ち、
動脈硬化を防ぐ。
○皮膚のコラーゲンを増やし、肌の潤いを保つ。
◎HRTの薬の種類
HRTにはエストロゲン製剤が使用されます。
エストロゲン製剤には飲み薬と貼り薬、肌に塗るジェル剤などがあります。
- 経口剤
- 一般的な錠剤の飲み薬です。服薬してから、胃腸を通して吸収されます。
- 貼付剤
- 下腹部などに貼る薬です。胃腸を通らず、皮膚から直接血液の中に吸収されるので、胃腸と肝臓の弱い方に適しています。
- ジェル剤
- 肌に塗る薬です。貼り薬同様、皮膚から直接血液の中に吸収されるので、胃腸と肝臓の弱い方に適しています。また、塗るだけで、かぶれにくく、肌の弱い方にも適しています。
子宮がある患者さまにはエストロゲン製剤に加えて、子宮体がんを予防するために
黄体ホルモン製剤が使用されます。
1製剤中に、エストロゲンと黄体ホルモンが含まれている薬です。
子宮がある患者さまにとっては、一つの薬ですむので便利です。
患者さまにあった薬・方法を選ぶために必要な検査を行います。
検査 | 確認する内容 |
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問診 | 今のからだの状態や症状 |
身体測定 | 血圧、身長、体重 |
血液検査 | ホルモンやコレステロール、中性脂肪、貧血の有無、肝機能など |
内診・細胞診・超音波 | 子宮頸がん、子宮体がん及びその他の婦人科疾患の有無 |
乳房健診 | 乳がんの有無 |
定期的に検診を受けましょう
HRTを続けている間は、症状の改善状態をみるためにも、定期的な検診が必要となります。
更年期は生活習慣病をはじめ、子宮体がんや卵巣がん、乳がんなどが多くなる年齢です。HRTによって定期検診が習慣になると病気の早期発見と治療につながり、更年期以降のトータルヘルスケアという意味でも大きなメリットとなります。
定期的な検診の習慣が、更年期以降のあなたを守ります