子宮は平滑筋という筋肉でできています。子宮筋腫とはその筋肉の一部にできる良性の腫瘍(こぶ)です。子宮筋腫を持っている人は非常に多く、2~3人に1人は大なり小なり筋腫を持っていると言われています。
月経が始まる前の若い女性にはほとんど発症しないことや、閉経すると筋腫が小さくなることなどから女性ホルモンであるエストロゲンが関与していると考えられています。
◎漿膜下筋腫
子宮の外側に突出するので症状が出にくく、きのこのように茎を持つタイプもあり、ねじれて激痛を生じることもあります。
◎粘膜下筋腫
子宮内膜にでき、内側に向かって発育します。小さくても症状が強く、過多月経、強い生理痛をともない、不妊の原因になることもあります。
◎筋腫分娩
茎を持つ粘膜下筋腫が子宮口から腟に飛び出してしまうこともあり、陣痛のような激痛が起きます。
◎筋層内筋腫(壁内筋腫)
子宮の筋層内にできます。最も多いタイプで、いろいろなところにいくつもできやすく、大きくなるにつれて過多月経や強い生理痛を引き起こします。
- 過多月経
- 生理の出血が多く、頻回にナプキン等を交換しなければならず、レバー状の塊などが混じることがあります。 また、生理の期間も長くなることもあります。
- 貧血
- 過多月経による出血多量にて貧血がおこり、動悸、めまい、息切れ、疲れやすいなどの症状がみられます。健康診断等で貧血を指摘され、婦人科を受診したことにより、子宮筋腫が見つかるということも非常に多いです。
- 圧迫症状(頻尿、腰痛、便秘)
- 筋腫が大きくなると周囲の臓器を圧迫します。子宮のどの位置にできるかによって違いが大きくありますが、膀胱の圧迫によっては頻回に尿意をもよおす頻尿や腸圧迫による便秘、腰椎の圧迫では腰痛や足の神経痛、しびれなどをおこします。
- 下腹の腫瘤感(しこり)
- 筋腫が大きくなり、腹部全面に突出してくると堅いしこりに触れることもあります。生理前や仰向けに寝ている時に気付くことがあります。
特につらい症状がなく、筋腫がまだ小さい場合には治療をせずに様子をみます(経過観察)。
一般的な治療は、大きく分けて「手術療法」、「薬物療法」があり、患者さまの症状の程度や年齢、ライフスタイルによって多くの選択肢があります。
薬物療法や子宮筋腫核出術では再発の可能性も残りますが、妊娠することは可能です。
当クリニックではカウンセリングを大切にしています。
患者さまの希望やライフスタイルなどをじっくりとお伺いしながら多くの治療法の中から患者様と一緒になり、ベストな治療法を探します