月経(生理)が始まる3日~10日ぐらい前から決まって起こるさまざまな症状をまとめて、「月経前症候群(PMS:premenstrual syndrome。月経前緊張症とも)」と言います。症状は落ち込み、イライラ、不安感、腹部膨満感、便秘、頭痛、乳房の痛み、むくみ、食欲不振(あるいは過食)など多様で、月経が始まると自然に治まったり、軽くなったりするのが特徴です。個人差はありますが、月経のある女性の多くがPMS(月経前症候群)を経験し、そのうち毎月、同じように症状が現れる人は3~8割と言われています。
- 体に現れる症状
- 腹部膨満感(お腹の張り)・腹痛・便秘・下痢・吐き気・頭痛・乳房痛・乳房の張り・腰痛・過食・食欲不振・肩こり・むくみ・めまい・肌荒れ・ニキビ・動悸 など
- 心に現れる症状
- 抑うつ症状・イライラ・不安感・集中力の低下・無気力・疲労・睡眠過多・不眠 など
上の表のように、便秘になる人もいれば、下痢になる人もいます。また眠れない人もいれば、一日中眠くて仕方ないという人も。このように症状が多彩な上、人によって現れる症状にかなりの差があります。
PMS(月経前症候群)が起こる原因ははっきりしていませんが、女性ホルモンが関わっていると考えられています。女性には月経周期がありますが、排卵を終えると卵胞ホルモン(エストロゲン)に変わって、黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌がさかんになります。そして妊娠しなかったときは、黄体ホルモンの分泌が急に減り、ふたたび卵胞ホルモンの分泌が増えてきます。
このように排卵から月経までは女性ホルモンの分泌のバランスが大きく変化するため、さまざまな症状が起こってくるのではないかと考えられています。
症状が軽い場合は、とくに治療の必要はありませんが、仕事に集中できない、眠れないなど、症状が重い場合、お悩みの症状に応じて、治療法を選択します。低用量ピル(OC)が有効な場合もありますし、各症状・体質に合わせた漢方薬が有効な場合もあります。お気軽にご相談くださいませ。
PMS(月経前症候群)では、月経前の過ごし方に工夫をすることも大切です。ハードなスケジュールを入れない、リラックスする時間を作る、睡眠や休息をたっぷりとるなど、少し余裕を持って過ごすと、症状は少し解消されることがあります。 また、症状はつらいものですが、そのことばかり考えているとそれ自体がストレスになり、症状を悪化させる原因にもなりかねません。月経は女性に必要なものととらえて、前向きに考えることも大切です。
- PMS(月経前症候群)対策
- ○ハードなスケジュールを入れない
- ○睡眠と休息をたっぷりとる
- ○自分なりのリラックス法を試して、気持ちをリフレッシュさせる
- ○ゆっくりとお風呂に浸かる
- ○カフェイン・アルコール・タバコを控える
- ○ビタミン・ミネラル類をとる
※最近では、PMS(月経前症候群)のなかでも日常生活をふつうに送ることがまったくできなくなる重症のものを、「PMDD(月経前不快気分障害)」として、診断されることがあります。治療法などは、基本的にはPMS(月経前症候群)と同じになります。